結婚記念日はいつもお決まりの、結婚式を挙げた海が見えるレストランで食事をするのが恒例でした。食後は子どもたちと一緒に海辺を散歩するという流れです。コロナ禍において、在宅時間が増えたこともあり、手料理をふるまうこともありました。いま思うと本当に幸せな日々だったなと思います。
ただ、夫婦の仲に冷たい空気が流れているな、と感じることは時々ありました。今思うと、言葉の端々から、将来は一緒にいないかもしれないよ、と感じられるような言葉がありました。「将来義母のお世話はしないよ」とか、「夫婦別姓だったらなぁ」とか。幸せを感じていたのは私ひとりで、妻の中でカウントダウンは少しずつ始まっていたんですよね。
子どもも生まれ、住宅も購入し、まさか離婚することなんてないだろう、とどこか高を括っていたんだと思います。妻の優しさに甘えている自分に気づくことができなかったのかもしれません。料理をしても後片付けは妻に任せるとか、今思うと自分よがりの優しさを押し付けていたんでしょうね。
男というのは鈍感な生き物で(特に私は鈍感なほうだな、と思います)、一説によると競争社会に身を置く恐怖を感じすぎないよう、本能的に鈍感力を高めているという話を聞いたことがあります。
そして、その日はある日突然やってきました。
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